霧が丘の家
光と影で分節された一室空間の住まい
横浜市郊外の閑静な住宅地に建つ50代夫婦の住宅です。建物は間口三間、奥行五間の建坪十五坪。一階は玄関ホールからアトリエ、和室、庭を一直線上に配置しました。横から差し込む光によって深い奥行きを感じることができます。多目的に使えるアトリエは外部から直接アクセスすることができ、玄関ホールとは引き戸で仕切ることができるようになっています。二階は中心に柱のある閉じた一室空間。ここに障子窓やトップライトかの光が荒く仕上げた漆喰に反射し輪郭の柔らかな陰影となってそれぞれの生活の領域を浮かび上がらせます。大きな面に広がるグラデーションが内部空間に心地良い距離感を生み出し、窓の大きさ、位置、窓枠のディテールが場に落ち着きを与えています。
光や影や寸法的な強弱で領域を生み出し、緩やかに仕切る手法の先にあるのは、住まい手の関係性をデザインすることなのではないかと思っています。人の気持ちが日々変化しするように、人と人との程よい距離感というものも、刻々と変化するものです。だからこそ、壁で遮断するのではなく、お互いに程よい距離感を保ちながら生活できる住まいが良いと思っています。さらに時々、外からの刺激が加わることで日常がより豊かになればさらに良いのではないでしょうか。そうした見えない仕組みを用意することこそ設計の大切な要素であると私は考えています。














所在地:神奈川県横浜市
構造・規模:木造 2階建
竣工年月:2017年1月
敷地面積:224.98m2
建築面積:58.79m2
延床面積:106.82m2
設計:若原アトリエ
構造:長坂設計工舎
施工:竹駒工務店
写真:中村絵